パソコンを使った作曲を始めた人が直面する課題は数多くある。
作曲ソフト(DAW)の選択から始まり、音源の選定、MIDIコントローラーの購入、コード進行の考え方、作詞、アレンジ、Mixまで、挙げればきりがない。
その中でも特にお金がかかるのが、音源や各種ツールなどのプラグイン購入だ。
プラグインには無料から有料まで幅広いラインナップがあり、一見無料で済ませられそうに思える。
しかし、調べていくうちに無料のものではダメだという強迫観念に襲われ、いつの間にか大量のプラグインを買い漁っているというのは、DTMerあるあるであろう。
実際、私もDTMerの端くれとしてプラグインをいくつか所持しており、買って後悔していないものがほとんどである。
しかし、プラグインの購入を「おすすめ」はしない。
全く買うなというわけではなく、作曲を続けるなら買って損はしないプラグインも存在するが、多くの人が(私も含めて)必要のないプラグインを購入してしまっていると思う。
そしてそれは、一部のサイトやYouTuberの「おすすめ」が原因であることが多い。
プラグインレビューの現実
アフィリエイトのカラクリ
皆さんはアフィリエイトの仕組みを知っているだろうか。
特定の商品をブログなどで紹介し、その紹介を通じて購入された商品から得た利益の一部が紹介者に渡るというシステムだ。
これはブログなどでは主流の収益獲得方法で、ある程度ネットに触れたことのある人ならご存知だろう。
質の悪いアフィリエイターも
ブログやYouTubeで有料プラグインを紹介するチャンネルの多くは、この方法でプラグインが売られているサイトなどからマージンを受け取っている。
彼らもボランティアで運営しているわけではないので、動画や記事を作る対価として報酬を得るのは当然だ。
しかし、中には汎用的に使いにくいプラグインや、抱き合わせ商品を割引率を強調して売ろうとするネット記事やYouTuberもいる。
そうしたセットには、価値が下がった古いプラグインや、単品では売れないプラグインの価格が含まれていることが多い。
これらの事実を注意喚起せずに良い面ばかりを紹介している記事も少なくない。
プロのレビューの落とし穴
また、プロによるプラグインのレビュー記事なら安心かというと、そういうわけではない。
そういった記事は代理店の依頼を受けていることが多く、プロとしての付き合いがある以上、不満点を率直に書くことは難しいのである。
無駄な出費を避けるために
無料のものが悪いという意識を捨てる
DTMにおいては、無料のものを使ってもバレないことが多い。
例えば、音源を購入する際、自分が持っている無料音源と理想の高額音源を比較することがあるだろう。
確かに無料音源と有料音源を単純に比較すると、ほとんどの場合で有料音源が優れている。
しかし、実際に複数の音源を組み合わせて曲を作る場合、一つ二つの音源が多少劣っていても、それが気づかれることは少ない。
プラグインを褒める言葉は信じない
プラグインを褒める言葉は基本的に信用しない方が賢明だ。
特に、解釈次第でどうにでも取れるような褒め言葉は要注意である。
一方で、改変しようがない機能や音の紹介は判断材料として良いだろう。
ただし、音だけが良くても重かったり使いにくいプラグインをうまく紹介して欠点を隠したりするケースもあるので、そこは注意が必要だ。
「道具の魔法」は信じない
特に作曲や編曲作業において、高級なプラグインを買ったからといって、良い曲が書けるようになるわけではないことを知っておくことが重要である。
高額なプラグインを買う心理的効果はあるかもしれないが、少なくともその価格に見合う効果を得るのは難しい。
唯一の例外として、AI技術を使った一部のプラグインが挙げられる。
例えば、Mixを自動で行ってくれるプラグインなどは、作業工程を短縮できるため、一定の効果が期待できる。
ただし、基本的にはプラグインを買ったからといって、作曲生活が劇的に変わることはないと思っておいた方が良いだろう。
まとめ
今回はプラグインを購入する際の注意点について述べたが、プラグインを紹介するYouTuberなどのアフィリエイターを過度に恐れる必要はない。
特にプラグイン関係は合計すると数十万円単位でお金がかかってもおかしくないが、音楽理論の教則本などはせいぜい数千円程度で済む。
高額なお金さえ絡まなければ、DTM界隈の人たちは(アフィリエイターも含めて)親切な人が多い。
作曲初心者は恐れずに、様々な動画や記事を参考にして成長していってほしい。